弁護士数が増え続けている中、独立開業が必ずしも成功するとは限りません。しかし、計画的に準備して開業することで、自分が理想とする働き方ができる可能性があります。
本記事では、弁護士が独立開業で失敗する理由や、成功させるためのポイントなどについてわかりやすく解説します。
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目次
弁護士の現状
2025年4月1日時点の弁護士会会員数は46,974(うち女性9,621人)で、今後も増加が続く見込みです。
平均年収は他の業界に比べると高いですが、競争が激しくなっているため、平均年収は以前より下がっています。
とはいえ、弁護士は独立すれば本人次第で高年収が十分に狙える職種です。
弁護士の独立開業でよくある失敗理由9個
弁護士の独立開業で失敗する理由として、代表的なものを紹介します。
1. 新規の集客ができない
独立したものの、集客が上手くいかず、依頼人が集まらないケースがあります。事務所の場所やリアルでの活動をどうすべきか独立前に考えておくのがいいでしょう。
また、近年はインターネットを使って情報を探すことが当たり前になっているため、Webからの集客に取り組まないと、見込み客から認知される機会を逃すことが多くなります。
関連記事:弁護士の集客方法16選
2. 経費をかけすぎた
開業時の初期費用や、その後のランニングコストに費用をかけすぎてしまうと、安定して経営できない可能性があります。
事務所を借りて開業する場合には、毎月の賃料の支払いが経営を圧迫しやすく、資金繰りに特に注意しなくてはいけません。売上と経費のバランスをとるなど、会計の視点から物事を考えることが求められます。
弁護士事務所経営における主な経費項目は以下で、人件費・家賃・広告費は「固定費が大きくなりやすい3大経費」で、経営悪化時に圧迫要因になります。
経費分類 | 内容例 |
人件費 | 弁護士報酬、事務員給与、アルバイト・パートの時給、社会保険関連費用など |
地代家賃 | 事務所の賃貸料。特に都市部では大きな負担に。敷金・礼金・更新料なども発生 |
設備費 | オフィス家具・IT機器費。内装費・改装費。 |
通信費 | 電話・インターネット回線使用料、携帯電話代、FAXサービスなど |
広告宣伝費 | ホームページ制作費、リスティング広告費、SEO、ポータルサイト掲載料、チラシなど |
業務関連費 | 裁判関連費用・印紙代・交通費、書籍・資料購入費、ソフトウェア・クラウド費用 |
外注費 | 税理士・社労士・IT業者への委託費 |
交際費 | 顧客接待費・贈答品費 |
保険・備え | 損害保険・弁護士賠償責任保険 |
雑費 | 文房具、消耗品、備品類 |
3. マネジメントが上手くいかなかった
開業して弁護士や事務員などのスタッフを雇えば、スタッフを管理して教育する必要が生じます。
マネジメントはコミュニケーション力や分析力・思考力などが必要とされ、法律の知識が豊富でも必ずしもうまくいくとは限りません。また、弁護士事務所は環境の狭さから人間関係にストレスを感じやすいと言えます。
そのため、どんな人を採用して手伝ってもらうか、その人をどう育成するか考えておく必要があります。
4. 価格競争に参入して利益が出なかった
低価格設定で仕事を行い、他の弁護士事務所との価格競争に巻き込まれると、事務所として利益が出なくなります。価格だけで勝負しようとするとキリがなく、収益性がより悪化します。
価格だけでなく、サービスの質や専門性で差別化を図ることが大切です。
5. 割に合わない仕事が多かった
顧客を獲得し、多くの仕事を行っていても、仕事に見合った報酬をもらえなければ事務所を運営し続けることができません。独立後は報酬を自分で決定するため、採算が取れない事態に陥る可能性もあるでしょう。
集客に不安がある場合、仕事を取りやすくするため、安い報酬を相手に提案してしまいがちです。また、単価が低かったり、利益率が悪かったりする仕事で時間ばかり失ってしまうこともあります。このように安い報酬で仕事を引き受けるとその分多くの仕事をこなさなくてはならず、消耗することになります。
6. 経験や能力が足りなかった
多くの弁護士は、法律事務所で働きながら、顧客や関係者の対応方法や書類の作成方法などを学んでいきます。しかし、この経験が不十分であったり、いわゆる「即独」を選択した場合には、開業後に戸惑うことも出てくるでしょう。
経験や能力の不足が顧客に伝わると、信頼関係が築けず、顧客を失うことになりかねません。集客がうまくいかなければ、経営状況の悪化に追い込まれることもあります。
7. 立地が悪かった
交通の便が悪い場所や、人通りの少ない場所に事務所を構えると、認知してもらいづらいだけでなく、依頼人が足を運びにくくなります。
しかし、駅前の一等地など賃料の高い場所を借りると資金繰りに苦労する可能性があるため、物件を借りる際は、これらのポイントを総合的に考えて検討する必要があると言えます。
また、弁護士事務所が多いからと裁判所の近くに事務所を構えると周りは競合だらけになり、集客に苦労する可能性があります。
8. 受任率が低かった
相談者が来ても、仕事を依頼してくれるとは限りません。特に近年は弁護士を探しやすくなっているため、相談者は他のさまざまな弁護士と比較します。「この先生にお願いしたい」と思ってもらえないと、受任は難しいでしょう。
相談時に信頼を獲得できなければ、受任率が思うように上がりません。受任できなければ、相談があっても報酬に繋がらず、十分な売上が確保できないでしょう。
9. 紹介してもらえなかった
他の事務所の弁護士や顧問先などから新しい顧客を紹介してもらえないケースです。弁護士事務所で働いた経験があると、独立後に顧客を紹介してもらえることがあります。
しかし、これまで所属していた場所で信頼関係を築けなかった場合や相手が本気でなかった場合には、独立後に安定して顧客を紹介してもらうことが難しいでしょう。
紹介を当てにしすぎるのは危険なので、自分でも集客経路を確保しておきましょう。
弁護士が独立するメリット
独立するメリットはなんといっても自由にできることです。どんな案件を受任するのか、どんな分野を中心に仕事をするのか、誰と働くのか、いつどの時間に働くのか、などのことはすべて自分で決められます。
自分の好きなようにできるので、モチベーションも上がりやすいでしょう。
弁護士の独立成功方法5個
独立開業に成功するための方法を解説します。
1. 集客の仕組みを作る
集客を仕組み化すれば、効率的に仕事を獲得でき、その分既存顧客の対応を丁寧に行えるなどのメリットを得られます。
例えば、法律に関するセミナーや相談を行い、弁護士を必要としている見込み顧客にアプローチする方法があります。終了後に契約に繋がらなければ、状況を伺うメッセージを送ることもできます。
「見込み顧客をリストアップして定期的に接触する」といったルールを決めれば、対応方法に迷うことなくスムーズに実行できるでしょう。
集客にはSEO、リスティング広告、SNSなど、さまざまな方法があります。効果的と思われる方法を考え、仕組み化して継続することで、安定的に顧客を獲得できるようになる可能性があります。
以下は、弁護士の集客方法一覧です。自分の事務所に効果的な方法から取り組むことが大切です。
分類 | 集客方法 | 概要・特徴 |
オンライン | ホームページ | 事務所の強みや専門分野を訴求。SEOや導線設計が重要。 |
SEO対策 | 自然検索からの流入獲得。適切なサービスページや専門分野記事など。 | |
MEO対策(Googleマップ) | 地域の相談者に強い。口コミ対応と写真・情報整備が鍵。 | |
リスティング広告 | Google広告など。即効性があるが費用が継続的に発生。 | |
ポータルサイト掲載 | 検索性が高く、費用対効果に差が出る。ポータルサイト内でも競合するため、注意。 | |
SNS(Youtube、X、Instagramなど) | 法律解説の内容を発信して集客。専門性と信頼性をアピール。 | |
LINE公式アカウント | リピーター対応・簡易相談に有効。通知性が高く、関係構築に役立つ。 | |
オウンドメディア運営 | 専門記事を定期発信。SEOにも効果があり、資産型の集客方法。 | |
メールマガジン | セミナー参加者や既存顧客への継続アプローチ手段。 | |
オフライン | 看板・事務所表示 | 地域の通行人への認知拡大。駅近や大通り沿いは効果が高い。 |
チラシ・DM配布 | 商圏内のピンポイント訴求。地域性・タイミングが成否を分ける。 | |
セミナー開催 | 相続・離婚・労働問題などテーマ別。参加者からの受任率が高い傾向。 | |
顧客からの紹介 | 過去顧客・他士業・知人からの信頼による受任。コストは低いが数に限界あり。 | |
他士業との提携 | 税理士・社労士・司法書士と連携し、業務連携からの紹介を得る。 | |
地域活動・勉強会参加 | 商工会・異業種交流会など、顔の見える関係作りによる信頼獲得。 |
2. 人脈を作る
弁護士が人脈を増やすことには、仕事を紹介してもらえたり、視野が広がったりといったさまざまなメリットがあります。
友人や知人・勤務していた弁護士事務所の同僚など、周囲の人と信頼関係が築けていれば、独立後も弁護士として楽しく働くことができるかもしれません。
また、中小企業の経営者とつながりを増やすのもいいでしょう。
これから人脈を増やしたいと考える場合には、以下をはじめとする方法が使えます。
・セミナーや勉強会に参加する
・経営者の交流会に参加する
・SNSを活用する
人脈を作る際は、その場限りで終わらないようにお礼の連絡をしたり、SNSを利用して関係を保ったりすることがおすすめです。自分の利益だけではなく相手の利益も考えて行動することを忘れないようにしましょう。
3. 経費をかけすぎない
開業して間もない頃は仕事を獲得できないことを考え、余裕を持って資金計画を作成することが大切です。
事務員の給与や事務所の賃料など、定期的に発生する経費は経営状況を圧迫しやすいため、慎重な判断を伴います。
また、開業時は内装工事や備品類の準備・ホームページの作成といった初期費用が発生します。理想の弁護士事務所を作ろうとして、細部までこだわりたいという気持ちになりますが、無闇に経費をかけすぎないように注意しましょう。
安全な経営を行うためには、抑えられる経費をしっかりと抑える必要があります。売上見込みによっては、自宅やレンタルオフィスでの開業を視野に入れてもいいでしょう。
4. 経験や実績を増やす
弁護士は、事務所で数年の経験を積んでから独立することが一般的とされています。経験を積むことにより、仕事に落ち着いて対応できるようになる上、実績や専門性といった観点から集客が行いやすくなるでしょう。
勤務を通じて経験を積む方法の他、研修や先輩弁護士との交流などで知見を増やすことも可能です。
また、弁護士会では即時もしくは早期独立開業する弁護士に向けたOJTを行っています。 (参照:弁護士会資料)そのような機会を通じて経験や実績を増やすことを検討してもいいでしょう。
5. 受任率を上げる
ホームページや広告などを通じて問い合わせをもらっても、受任に至らなければ売上に繋がりません。毎月の来所数や受任数を記録することで、受任率を常に把握するよう心がけましょう。
受任率を上げるためには、相談者に丁寧に対応することが重要です。信頼できる弁護士と思ってもらえるように、話し方や身なりなど、 些細な点も大切にして対応しましょう。
すぐに受任に至らなくても、その後のアプローチ次第では受任に繋げることが可能です。「その後の状況はいかがでしょうか」といったメッセージを送るといった施策が考えられます。その際は誰にでも同じ内容を送るのではなく、相手の状況に配慮した内容を送ることで、信頼感をアピールできるでしょう。
まとめ
多くの競合が存在している中で、独立開業して安定的に経営することは簡単なことではありません。
しかし、計画的に準備して開業することによって、自分の理想の働き方ができ、弁護士としてのキャリアを楽しく歩むことができます。失敗事例や成功のポイントを押さえ、理想的な独立開業を目指しましょう。