弁護士の方で自分の事務所を作り、独立したいと考えている場合、どのくらいの年齢で何年目が独立に適しているのか、準備にはどんなことをすればいいのか、などについてデータをもとに解説します。
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目次
弁護士の独立年齢とタイミングは?何年目?何歳?
※引用元
弁護士白書によると、弁護士になってから5〜15年くらいに独立する人が多いです。年齢としては、30代が節目と言えます。
ある程度勤務弁護士として仕事を経験しているので、一人でも仕事をこなすことができるようになり、専門性も深まっています。人によっては人脈も広がっています。
30代であれば、体力や気力がある時期なので、独立を考えているのであれば、良いタイミングになるでしょう。独立するにはエネルギーが必要ですし、勢いも大切です。時期を逃すとだんだん動きづらくなってきます。
弁護士の独立メリット
弁護士として独立するメリットとしては以下のようなものがあります。
・自分の裁量で仕事ができる
・やりたいことができる
・場所を選べる
・時間の融通が利く
・収入は青天井
など
独立するとどの業種でもそうですが、自分の裁量で仕事ができるようになります。自分の裁量が増えれば、仕事のモチベーションは上がりやすくなります。そしてやり方次第で収入を大きく伸ばすことも可能です。
弁護士の独立デメリット
・良くも悪くもすべては自分次第
・収入が安定しない
・事務所経営の雑務に時間がとられる
・法律業務以外の知見が必要になる
・責任が増す
など
独立するデメリットとしては、自分次第になるので常に自分で考えて行動しなければいけません。経営やマーケティングも行う必要があります。収入が安定せず、責任もすべて自分でとることになります。
これまでは所属していた事務所の誰かがやっていた雑務などの法律以外の業務にかんする知識が必要になり、時間をとられるようになります。確定申告や決算業務の必要性が生じます。
弁護士の独立前の開業準備事項7個
①資金を準備する
日弁連の「即時・早期独立開業マニュアル」には、「自宅開業なら50万円、執務場所を自宅以外に求めるのであれば、100〜300万円あれば、開業は十分可能である。ただし、開業後、事業を継続するためには一定の運営資金の準備が必要である。」と書かれています。
2012年12月に作られたものなので少し古いですが、開業資金としては妥当な金額だと思われます。
弁護士の場合、飲食店や美容院、クリニックなどと異なり、内装費や機材に多くの費用はかからないので、比較的独立しやすい業態です。
また、開業資金や運転資金が足りない場合は融資を受けるという方法もあります。弁護士協同組合の事業ローン、日本政策金融公庫、自治体の事業ローン、地銀・信金などの金融機関など、融資を行っているところは多数あるため、金額や利率の条件が良いところから調達するのがおすすめです。
<具体例>
制度 | 金額 |
日本政策金融公庫の創業融資 | 融資限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
東京都の創業助成金 | 助成限度額100〜400万円 |
②事業計画や資金計画を作る
事業計画と資金計画は別々に作る必要があります。黒字経営でも手元の資金がなくなれば、法人の場合は倒産になります。
事業計画では、簡単なシミュレーションで構わないので、売上・費用・利益が月別でわかるようにしたものがおすすめです。エクセルやスプレッドシートで簡単に作成できます。
どのくらいの事案獲得(売上)が見込めるのか、自分の給料はいくらにするか、事務員を雇う場合にはいくらかかるのか、オフィス代や諸経費はいくらかかるのか、といった考えられる数字をひとつの表にまとめます。
事業計画ができたら、資金計画はその利益と紐付けることで簡単に算出することができます。実際には入金サイクルや支払いサイクルが内容次第で変わるので、その点には注意が必要です。入金サイクルが遅いものが多くなると手元の資金が足らなくなるので、いつお金が振り込まれるのかは確認するようにしてください。
月別PL(損益計算書)を作る場合は、以下の各費用と売上の項目を作って、数字を埋めていってください。※人件費・地代家賃・広告宣伝費が大きくなりやすい項目です。
費用分類 | 内容例 |
人件費 | 弁護士報酬、事務員給与、アルバイト・パートの時給、社会保険関連費用など |
地代家賃 | 事務所の賃貸料。特に都市部では大きな負担に。敷金・礼金・更新料なども発生 |
設備費 | オフィス家具・IT機器費。内装費・改装費。 |
通信費 | 電話・インターネット回線使用料、携帯電話代、FAXサービスなど |
広告宣伝費 | ホームページ制作費、リスティング広告費、SEO、ポータルサイト掲載料、チラシなど |
業務関連費 | 裁判関連費用・印紙代・交通費、書籍・資料購入費、ソフトウェア・クラウド費用 |
外注費 | 税理士・社労士・IT業者への委託費 |
交際費 | 顧客接待費・贈答品費 |
保険・備え | 損害保険・弁護士賠償責任保険 |
雑費 | 文房具、消耗品、備品類 |
③戦略を考える
どういった業務を行い、どこから事案を獲得するのか戦略を考えておきましょう。自分のこれまでの経験や強みから導き出すのがよくある方法のひとつです。
弁護士の数が増えているので、依頼者も実績があって専門性の高い人に依頼したいと考える人が多くなっています。例えば、離婚の事案を依頼するときに、離婚の裁判経験がない弁護士が相手だと不安を覚える方は多いはずです。
事業では実際に始めてみると思うようにいかないケースは多いので、いくつかのパターンを考えておくと安心です。
④場所を選ぶ
開業する場所は、勤務していた事務所の近くや地元を選ぶ方が多いですが、事務所の売上を伸ばし、事業を安定させることを考えると、その場所がいいとは限りません。
戦略的に考え、場所を選びましょう。場所については後半でさらに解説します。
⑤集客方法を用意する
※引用元
インターネットが発達し、Webから集客する方が増えています。日弁連が作成している2021年の「近年の弁護士の活動実態について」の資料内にある「弁護士が広告を行うために利用している媒体」でも「事務所ホームページ・ブログ」「インターネット広告」「弁護士検索サービス」などのWebからの集客方法に取り組んでいる人が多いことがわかります。
Web集客は強力ですが、競合も多いので、オフラインの集客方法にも取り組むのがおすすめです。
弊社のクライアントでもWeb集客以外にオフラインの集客方法にも取り組むことで経営が安定し、平均水準よりも大幅に高い収益を作ることに成功しています。
以下は、弁護士の集客方法一覧です。どれに取り組むのか考えるときの参考にしてください。
分類 | 集客方法 | 概要・特徴 |
オンライン | ホームページ | 事務所の強みや専門分野を訴求。SEOや導線設計が重要。 |
SEO対策 | 自然検索からの流入獲得。適切なサービスページや専門分野記事など。 | |
MEO対策(Googleマップ) | 地域の相談者に強い。口コミ対応と写真・情報整備が鍵。 | |
リスティング広告 | Google広告など。即効性があるが費用が継続的に発生。 | |
ポータルサイト掲載 | 検索性が高く、費用対効果に差が出る。ポータルサイト内でも競合するため、注意。 | |
SNS(Youtube、X、Instagramなど) | 法律解説の内容を発信して集客。専門性と信頼性をアピール。 | |
LINE公式アカウント | リピーター対応・簡易相談に有効。通知性が高く、関係構築に役立つ。 | |
オウンドメディア運営 | 専門記事を定期発信。SEOにも効果があり、資産型の集客方法。 | |
メールマガジン | セミナー参加者や既存顧客への継続アプローチ手段。 | |
オフライン | 看板・事務所表示 | 地域の通行人への認知拡大。駅近や大通り沿いは効果が高い。 |
チラシ・DM配布 | 商圏内のピンポイント訴求。地域性・タイミングが成否を分ける。 | |
セミナー開催 | 相続・離婚・労働問題などテーマ別。参加者からの受任率が高い傾向。 | |
顧客からの紹介 | 過去顧客・他士業・知人からの信頼による受任。コストは低いが数に限界あり。 | |
他士業との提携 | 税理士・社労士・司法書士と連携し、業務連携からの紹介を得る。 | |
地域活動・勉強会参加 | 商工会・異業種交流会など、顔の見える関係作りによる信頼獲得。 |
⑥事務所に退職の意向を伝える
事務所によって状況は様々だと思いますが、退職の意思を早めに伝えておくと、事務所側も慌てずに対応することができます。目安としては遅くても2〜3ヶ月前には伝えておきましょう。
事案の引き継ぎなども考えるともっと早くてもいいかもしれません。自分の業務や事務所の状況に合わせてトラブルにならないようにしておくと、安心です。弁護士の数が増えているとはいえ、狭い世界なので良好な人間関係を作れていたほうが後々のメリットも大きいでしょう。
⑦開業手続き
開業するには、開業手続きが必要です。意外と時間が取られることが多いので、ひととおりの必要な手続きを事前に確認して、退職後にすぐに取りかかれるようにしておくとスムーズです。
法人として始めるなら、法人設立届出書の提出が必要です。個人事業主なら税務署へ開業手続きを提出する必要があります。
法人の場合は、定款作成や口座開設など、個人事業主よりも手続きが多くなるので、事前に確認しておくようにしてください。
弁護士の独立費用
弁護士の独立費用は100〜300万円あれば、開業することができるでしょう。月々に必要なお金は、その人の生活費、オフィス代、人件費などによっても変わりますが、半年分くらいの資金があると安心です。
弁護士会費を勤務先が払っていた場合には、独立後自分で支払う必要が出てくるため、そのコストにも注意してください。地域によって金額が異なり、高すぎると感じる方も多いようです。
もし資金が足らない場合は、融資を受けることもできます。融資を受ける場合は審査や手続きで一ヶ月程度はかかるため、早めに相談するようにしてください。
弁護士の開業場所
弁護士の開業場所も重要です。裁判所の近くは弁護士事務所が多いですが、集客やマーケティングを考えると難しいケースが多くなります。
なぜなら、裁判所の近くには既存の法律事務所が多く存在し、自然と競争も激しくなるためです。
例えば、Webからの集客では、「地名」+「弁護士」というキーワードで多くの人が弁護士を探していますが、競争の激しくない場所で検索需要の多い場所にすれば、見込み客を多く集められる可能性が高くなります。
また、集客を軸に考えれば、必ずしも賃料の高い場所がいいとは限りません。ほとんどの人が車で移動する地方だと、賃料を下げて駐車場があるところにしたほうがいい場合もあります。独立を考えている場所の競合や特性を考えて、場所選びを考えてみてください。
独立前にご相談いただければ、Web集客の観点から勝ちやすい場所をアドバイスすることが可能です。
弁護士の独立後の年収は悲惨?やばすぎ?
※引用元
独立後の平均年収の正確なデータはありませんが、日弁連の資料で独立している人が多い期の平均年収を見れば、ある程度予想することができます。55期〜65期あたりは独立してからそんなに年数が経っていない人が多く、参考になるでしょう。その人達の平均所得は、55〜59期は1000万円、60〜65期は799万円となっています。
ただ、以前よりも競争は激しくなっているため、今後独立する人にとっては、このデータの平均より少し低く見積もった金額が妥当でしょう。またこれは平均なので、上は1億円以上、下は200〜300万円と幅はあります。インターネット上で1億円以上だと語っている弁護士の方はいますので、1億円はやり方次第で可能な金額と言えます。
独立後は、その人の力量で大きな差が出ます。また、その人がどのくらいの時間働くのか、収入をいくらいにしたいのか、でも変わるでしょう。
弁護士が増えていて以前よりは数字が落ちているため、年収が悲惨、やばすぎると言われることもありますが、他の業種に比べるとそこまで悲観するような数字とは言えません。
弁護士は独立しないほうがいい?
弁護士として独立しないほうがいいかは人それぞれです。その人の性格や価値観によります。
独立した場合のメリット・デメリットを踏まえて、自分がどうしたいのかで決めてみてはいかがでしょうか。
基本的には人は裁量が増えれば、仕事は楽しくなる可能性が高いです。ただ、自分で仕事を獲得する必要があるため、その苦労は生じるでしょう。
弁護士の廃業率
※引用元
弁護士の廃業に関しては、正確なデータがあるわけではありません。
日弁連の資料にある「弁護士登録取消し件数」が参考になる数字ですが、取消し事由の割合では「死亡」と「請求」の割合が圧倒的に高くなっていて、廃業とは異なります。
そして、取消し事由の「請求」について資料では次のように書かれています。「登録取消請求の理由については、高齢、健康上の理由、任期付公務員としての就業、留学、出産・育児等が挙げられる(ただし、詳細な申告は義務付けていない)。」
弁護士の場合は、固定費を安くすることができるので、収入が下がっても続けることができ、廃業を選ぶ人は少ないのかもしれません。
まとめ
弁護士の独立について説明してきましたが、独立後は自分次第で大きく変わります。また勤務弁護士に戻ることができないわけではありません。
独立する人が多いと思われる30代前後は、結婚や出産・子育てなどプライベートの状況も大きく変わる時期です。独立するタイミングを逃すと独立しづらくなるので、早めに目標を立てたほうが安心です。
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