歯科医師は多くの患者さんから必要とされるやりがいのある仕事である反面「しんどい」と感じる方も多くいます。歯科医師が感じる苦労は、どのようなポイントにあるのでしょうか。

本記事では、歯科医師がしんどい・やめたいと感じるポイントや、その対策方法について解説します。

歯科医師がしんどい・やめたいときの理由8個

歯科医師が苦労を感じる理由について説明します。

1. 年収が上がらない

歯科医師の年収は一般的な水準から見ると高収入と言えます。しかし、歯科医師として働く大変さに見合わないと感じる方や、もっと高収入を期待していたという方も多いでしょう。

働き始めたばかりの20代の歯科医師の場合は、特に年収が少なく、一般の会社員と同程度という人も少なくありません。

2. 新しい技術の習得や勉強が大変

歯科医師として働き始めた後も、常に勉強し、技術を磨くことが求められます。

特に近年は、歯の健康だけではなく見た目にこだわりたいという方が増え、審美歯科に対する知識が求められています。勤務する歯科医院にCAD/CAMといった新しい技術が導入され、研修会や勉強会に参加したという方も多いでしょう。

歯科医師として働く限り、治療と並行しながら勉強し続けなくてはならないという点を負担に感じるという方も見受けられます。

3. 院長と合わない

勤務医である場合は、歯科医院の院長の方針のもとで働く必要があります。

働く中で「もっと丁寧に治療する環境を整えてほしい」「自分の興味のある分野の治療を任せてほしい」などの気持ちが生じることもあるでしょう。しかし、自分の考えが院長の考えと異なれば、思い通りに働けません

自分の望む環境で働けないと、ストレスがたまるだけではなく、 理想とする技術が身につかない可能性もあります。

4. 人間関係が窮屈

他の歯科医師や、歯科衛生士・歯科助手などとの関係がうまくいかず、ストレスとなるケースです。特に、狭い環境の中で複数の人間が働く歯科医院では、人間関係の問題が発生しやすいと考えられます。

人間関係が悪いものとなれば、労働時間が苦痛となりかねません。人間関係のトラブルによる離職や、院内の雰囲気の悪化から、業務の遂行に支障をきたす事態に発展することもあります。

5. 労働時間が長い

歯科医師は長時間同じ姿勢をとることが多く、腰痛や肩こり、眼精疲労に悩まされることがあります。

予約が多い日や、集中して行わなくてはいけない治療が重なった日には、1日中フル回転で働かなくてはいけないということもあるでしょう。身体的にも精神的にも消耗し、夜帰宅した時にはぐったりと疲れきっているということも少なくありません。

6. 休みがとれない

より多くの売上をあげようとして、土日や祝日も診療したり、朝から夜までたくさんの患者さんを受け入れていたりする歯科医院があります。このような歯科医院で働くことにより休みが取れず、不満を感じるケースがあります。

また、夜や休日は研修会やセミナーが開催されることがある点も、プライベートの時間を確保しにくい原因となっています。

7. 責任が重大

歯科医師という立場である以上、患者さんの歯や口に対して責任を持って働かなくてはいけません。やりがいを感じる反面、その責任を負担と感じるケースも見受けられます。

治療の最中に患者さんに怪我をさせてしまったり、自分の判断ミスによって悪影響を及ぼしてしまったりするリスクもあります。特に、研修医や勤務を始めたばかりの歯科医師である場合には、歯科医師としての責任を負担に感じることも多いでしょう。

8. 患者さんとのコミュニケーションが上手くいかない

治療する上では、患者さんとコミュニケーションを取りながら、納得してもらった上で治療内容を決定する必要があります。

しかし、中には患者さんになかなか内容を納得してもらえないケースもあるでしょう。また、患者さんが望む治療内容が、歯科医師としてはおすすめできないものであるなどのケースもあります。

このような患者さんの対応を行うことに対して、苦手意識を感じているというケースも多く見受けられます。

歯科医師の現実と将来

歯科医師の数は、増加傾向で2020年に107,443人となっています。今後も微増するものと思われます。


参照:厚生労働省

平均年収は今のところは概ね横ばいです。令和4年の年齢別の平均年収は以下の数値となっています。

年齢年収(万円)
全体平均810.41
20〜24歳215.16
25〜29歳464.33
30〜34歳666.67
35〜39歳996.36
40〜44歳1031.83
45〜49歳1254.64
50〜54歳1085.03
55〜59歳1209.79
60〜64歳1047.48
65〜69歳
70歳〜585.16

参照:令和4年賃金構造基本統計調査

大手企業と異なり、小さな組織が多いため、年収を上げるためには戦略的に取り組む必要があるでしょう。

将来についてですが、人口減少に伴い患者数の減少が見込まれているため、生き残るための競争は激しくなるものと予想されます。


参考:日本歯科医師会資料

歯科医師としてできる対策5個

歯科医師として満足できる働き方をするにはどうすればいいのでしょうか。様々なポイントから考えていきます。

1. 自分で開業する

自分で歯科医院を開業して院長になれば、運営の方針を自分で決められます。勤務医時代に感じていた「院長と合わない」「もっとこうすればいいのに」といった不満に悩まされることもありません。思い通りの環境で働ける上、年収アップにも期待できるでしょう。

しかし、院長になれば経営の維持やスタッフの採用といった新たな悩みが発生します。やるべきことは勤務医時代よりも増え、かえって負担が増えることも考えられます。

自分で開業する場合は、自分でやる必要のない仕事を外部の業者に委託したり、あらかじめ経営について学んだりと、効率的な経営のための取り組みが必要であるという点を押さえておきましょう。

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2. 集患スキルをつける

歯科医院は「コンビニよりも多い」と言われることがあるほど多く、地域によっては競合と激しい競争になります。開業する場合には、患者さんが継続的に来院してくれるよう、マーケティングの視点から物事を考える必要があるでしょう。

開業にあたっては、開業するエリアを検討したり、他院との差別化を図ったりして、安定して患者さんに来てもらえるように計画を行います。闇雲に経営するのではなく、自身の強みを活かせるような経営を行うことで、効率的な集患に繋がるでしょう。

ホームページの制作などに関しては、オンラインを使った集患を得意とする業者に任せることも有効です。

歯科医院の集客方法の解説記事はこちら

3. キャリアプランを描く

歯科医師としての理想のキャリアを考え、今後の計画を立てましょう。開業して自分の歯科医院を持つ人や、勤務医を続けて出世する人、特定の分野で専門性を発揮する人など、さまざまなパターンが考えられます。

自分が理想としている方向性に進むためにも、早い段階でキャリアプランを描き、それに応じた対策を行うことが重要です。特に、若手のうちの経験は今後のキャリアに大きな影響を与えます。今やるべきことや、自分がいるべき環境についてよく考えた上で行動しましょう。

4. 治療技術を磨く

虫歯や歯周病といった一般的な治療はもちろん、審美治療やマウスピース矯正など、幅広い分野の技術を磨きましょう。

特に、歯科医院が多く存在している地域は競争が激化し、患者さんが求める水準も高くなりやすい傾向にあります。患者さんのさまざまなニーズに高い水準で対応できるよう、日々の学習を続けることが大切です。

将来的な開業を検討しているのであれば、数をこなして売上を上げることになる保険診療よりも、少ない診療で売上を上げやすい自費診療の技術を磨くことも有効です。それと同時に、高額な自費診療を患者さんに納得して受け入れてもらえるよう、コミュニケーション力も大切にしましょう。

5. 新しい職場を探す

今の歯科医院で働くのが大変であれば、新しい職場を探すことを視野に入れてもいいでしょう。具体的には、以下をはじめとする選択肢が考えられます。

・他院で歯科医師として働く
・国家試験予備校で講師を務める
・歯科関係の機器を扱う企業で働く
・異業種へ転職する

また、歯科医院や企業で働く方法の他にも、以下の方法で働く方法もあります。

・歯に関する講演やセミナーを行う
・歯の相談サービスを提供する
・他院向けにコンサルティングを提供する

気になる求人を眺めたり、今後のキャリアプランを見直したりしながら、理想の働き方について考えていきましょう。

まとめ

歯科医師は多くの人々から必要とされる、社会的な意義のある仕事です。しかし、さまざまな理由から歯科医師として働くことをしんどいと感じることもあるでしょう。

自分がしんどいと感じているポイントを分析して、それに応じた対応を行うことが大切です。場合によっては、開業や転職も視野に入れて、自分の思う理想的な働き方を目指していきましょう。

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