マーケティング心理学は、顧客の購買行動における心理的なメカニズムについての学問であり、実際のマーケティングにも活用されています。

本記事では、マーケティング心理学の具体例についてまとめて解説します。

目次

マーケティング心理学とは?

マーケティング心理学とは、マーケティングで用いられるさまざまな手法に対して、消費者がどのような反応をするのかについて研究する学問のことを指します。

商品やサービスを販売するためには、消費者の心理や行動パターンを理解して、企画からアフターフォローまでの一連の流れを設計する必要があります。

そのような業務を行う上では、人間の行動パターンを研究する学問である行動心理学を取り入れることで、より消費者の心を掴もうという考え方があります。

行動心理学の中でも、マーケティングの分野に特化したマーケティング心理学は、ビジネスで成功を収めるために多くの企業に取り入れられています

マーケティング心理学の具体例一覧50個

マーケティング心理学の法則とその具体例について解説します。

1. アフォーダンス効果


アフォーダンス効果とは、過去の体験をもとにして、似た場面に遭遇した際の行動を決定する現象を指します。

アフォーダンス効果はWebサイト制作の際に取り入れると効果的です。ユーザーにクリックしてもらいたいリンクは「購入」「カートに入れる」といったボタンにするなど、一般的なサイトで使われているものと同様の方法を取り入れることで、ユーザーにとって快適なサイトが制作できます。

ボタンの左右・上下の位置なども当てはまります。

例えば、以下のようなボタンが個人情報を入力する画面の一番下にあったらどうでしょうか?間違えてクリアを押しそうになりませんか?
アフォーダンス効果を無視すると、ユーザーが逃げる原因になります。

2. アンカリング効果


アンカリング効果とは、最初に目にした情報に基づいて、その後の情報の判断を行うようになる現象です。

例えば、ある商品を「通常価格5,000円」と紹介した後、次に「セール価格3,000円」と紹介します。顧客は最初に目にした価格と比較して購入するかどうかの判断を行うため、ただ単に「3,000円」と言われた時よりも商品を購入する可能性が高まると考えられます。

※ただし、二重価格表示など景品表示法に注意が必要。

3. アンダードッグ効果

不利な状況にいる人を応援したくなる現象を、アンダードッグ効果と言います。

この効果を利用して企業や店舗の弱みを見せることで、顧客が応援したいという気持ちになり、購入につながることがあります。

SNSなどを利用して「商品を発注しすぎて困っている」「急なキャンセルで空きができてしまった」といった情報を発信するといいでしょう。

4. 一貫性の原理

一貫性の原理とは、物事に対する姿勢に一貫性を持たせたいと思う心理のことを言います。小さな頼みごとをされて引き受けた後、それよりも大きな頼みごとをされても前回と同様につい引き受けてしまうといった現象は、この一貫性の原理が働いていると考えられます。

マーケティングでは、顧客にアンケートの記入を頼むなど小さなところから始め、徐々に関わる範囲を増やしていくといった方法が使えます。

5. ウィンザー効果


ウィンザー効果とは、第三者、特に親しい間柄の人のことを信じやすい現象です。

Webサイトに掲載された公式の情報や、営業担当の言葉よりも、商品を実際に使った人のことを信じる時にウィンザー効果が働いていると考えられます。

Webサイトに使用者のアンケートを掲載したり、SNSでインフルエンサーに商品を使った感想を投稿してもらったりといった施策が考えられるでしょう。

6. ヴェブレン効果(顕示効果)


ヴェブレン効果は、ブランド品や限定品を購入した時に、誰かに見せびらかしたいといった欲求が生じる現象です。

ヴェブレン効果をマーケティングに活かすためには、ブランドイメージや知名度を高めたり、高額で希少性のある商品を発売したりといった方法が有効です。

「誰かに見せびらかして羨ましいと思われたい」といった顧客の欲求を満たすことを意識しましょう。

7. エモーショナルマーケティング

エモーショナルマーケティングとは、顧客の感情に訴えかけることで、商品を購入しようという気持ちを想起させるマーケティングの手法です。

スタイリッシュなモデルを広告に起用して「私もこのモデルのようなおしゃれなライフスタイルを送りたい」といった憧れや期待の感情を刺激することで、欲しいと思う気持ちにさせるといった例が挙げられます。

8. おとり効果

3つの選択肢のうち、魅力が劣るものを1つ入れることで、自分が選んでほしい選択肢を相手が選ぶ可能性が高まることをおとり効果と呼びます。

例えば「特典Aがついて2,500円」「特典A・Bがついて3,000円」という選択肢に対して「特典Bがついて3,000円」というおとりの選択肢を入れることで、単価の高い3,000円のプランが選ばれやすくなります。

9. オペラント条件付け

与えられる報酬や罰に応じて、特定の行動を取る可能性が変化する現象をオペラント条件付けと言います。

マーケティングでは、報酬をランダムに設定することで、相手の行動の可能性を高めることを狙って取り入れられます。

店頭で無料サンプルをランダムに配布したり、商品の発送時に特定をランダムで提供したりすることで、顧客に購入を促すなどの施策が有効です。

10. カクテルパーティー効果

カクテルパーティー効果とは、パーティーのような騒がしい場面でも、自分に必要な情報や自分に関連する情報は聞き取れる現象のことです。

店頭で「タイムセール中です」と呼び込みを行い、通行人の興味を引くといった場面で使われます。また、テレビCMに人気の高いタレントを起用することで、流し見していた視聴者の興味を引くこともカクテルパーティー効果を利用していると言えます。

11. カリギュラ効果

禁止されると、かえってその言動をとりたくなる現象をカリギュラ効果と言います。

マーケティングの分野では「○○したくない人は見ないでください」「悪用禁止の○○の方法」といった方法で、キャッチコピーに利用されやすい傾向があります。行動を制限されることで、かえってその続きが気になるという人間の心理を利用しています。

12. 希少性の法則

手に入れにくいものは価値が高いとみなされ、欲しいと思われやすいことを希少性の法則と言います。

マーケティングでは、商品数や販売期間が限られることを顧客にアピールすることで、欲しいという気持ちを刺激することが有効です。販売期間が残りわずかの商品を、メールやSNSでアピールするなどの施策が考えられます。

13. クレショフ効果

無関係な画像同士でも、隣に配置することで関連性のある画像と認識する現象をクレショフ効果と言います。

例えば、スイーツと笑顔の女性、2枚の画像が隣同士で並んでいたとしましょう。2枚の画像に関連がなくても、頭の中では「おいしいスイーツを食べたから女性が笑顔になったのだ」と認識します。

Webサイトやポスターなどでこの現象を使えば、顧客に持ってもらいたいイメージを意図的に作り出すことができます。

14. 決定回避の法則

選択肢が多すぎると選べなくなってしまう心理現象を、決定回避の法則といいます。

商品を開発する際、カラーバリエーションやサイズを豊富に展開し過ぎると、顧客がどれを選んでいいのか迷ってしまう可能性があります。顧客が決められず購入しないという事態に陥らないためにも、選択肢は多くしすぎないことが大切です。

15. 権威への服従

権威のある人を無条件で信用する現象を、権威への服従と言います。権威性をアピールすることで「権威のある人の言葉だから正しいはずだ」という印象を与え、人に従わせる方法です。

マーケティングにおいては「医者が推奨する健康法」や「モデルが使用しているサプリメント」など、権威性のある肩書きを利用して商品の信頼度を高める方法が使われています。

16. コントラスト効果

2つ以上の情報を比較する時、直前に触れた情報によって感じ方に変化が生じる現象をコントラスト効果と言います。

例えば、5万円のコース料理を見て高いと感じる人でも、10万円のコース料理がメニュー表に並んでいれば、5万円が安いと感じるかもしれません。

この現象を利用して、売りたいものの隣に高額の商品を配置することで、顧客に安いと感じてもらえる可能性があります。

17. ザイオンス効果(単純接触効果)


初めは興味のなかった人や物事でも、何回も会ったり見聞きしたりすることで親近感が湧く現象を指します。

マーケティングの分野では、 ザイオンス効果(単純接触効果)を利用して、繰り返し顧客に接触することを目的とした宣伝方法が多数あります。繰り返し同じ商品の宣伝を目にすることの多いテレビCMや、Web広告などがその例です。

18. サンクコスト効果(コンコルド効果)

今までに使ったお金や時間が無駄になることが嫌で、物事をやめられない状態をサンクコスト効果といいます。

顧客に「ポイントの有効期限が迫っています」とメールで案内して、Webサイトでの購入を促す企業があります。これは「せっかく貯めたポイントを無駄にしたくない」という心理を狙ったものだと言えるでしょう。

19. シャルパンティエ効果

同じ重さのものであっても、体積の大きい方を重いものだと感じる錯覚を、シャルパンティエ効果と言います。

栄養ドリンクで「タウリン1g配合」ではなく「タウリン1,000g配合」などと記載するのは、同じ重さでも数字が大きいだけでより高い効果が得られるような印象を与えるためです。

このような錯覚を利用して、商品がお得で魅力的なものであるという印象を顧客に与えられます。

20. 松竹梅の法則(ゴルディロックス効果)


松竹梅の法則とは、3つの選択肢がある場合に、真ん中の「竹」の選択肢が選ばれやすい現象を指します。極端な選択肢を回避したいという理由から「松」や「梅」は選ばれにくい傾向があります。

松竹梅の法則は「ゴルディロックス効果」とも呼び、サブスクリプションのプランなどで一番選んでほしいものを真ん中のレベルの選択肢にするといった使い方があります。

21. 初頭効果

人や物事に対する印象は、最初に触れたものが記憶に残りやすく、将来的な評価にも影響を与えやすいことを初頭効果と言います。

第一印象が良ければ、商品やブランドに対して良いイメージを与えることができます。Webサイトの制作やSNSの投稿をする際、初めに提示するものはポジティブな情報であることが大切です。

22. 親近効果

親近効果とは、初頭効果とは反対に、最後に与えられた印象が記憶に残りやすく、その後の評価に影響を与える現象です。特に、多数の人の意見を聞いた時に親近効果が起こりやすいと考えられています。

例えば、自分が商品に対して感じた最初の印象よりも、その後に口コミサイトで見たたくさんの口コミの方が印象に残りやすくなる場合もあります。顧客へのセールスやWebサイトでは、ポジティブな情報を最後に与えるなどの使い方ができます。

23. ストループ効果

言葉の意味と文字の状態に矛盾がある場合に、認知しにくい状態になることをストループ効果と言います。例えば、赤色の文字で「青」と書いてあると脳が混乱し、ストレスや違和感を感じることとなります。

Webサイトを制作する場合には、ユーザーがストループ効果に陥らないように注意することが大切です。例えば、通常価格なのにセール価格であるような色使いにするといったことはせず、情報の内容とビジュアルを統一しましょう。

24. スノッブ効果


スノッブ効果とは、多数の人が同じ商品を使っている時に「自分は同じものを使いたくない」「他のものを買いたい」と感じる現象です。

スノッブ効果をマーケティングに取り入れるためには、商品を大量生産せず、数量をあえて制限するといった方法があります。

数量限定販売や、受注販売といった売り方をすることで、商品が貴重なものであるという印象を顧客に与えることができるでしょう。

25. ソーシャルプルーフ

自分が信頼している人たちと同じような行動を取ろうとする傾向をソーシャルプルーフと呼びます。

SNSで自分の友人や憧れているタレントが商品を使っているのを見て「この人が使っているのだからこの商品は魅力的なはずだ」というイメージを抱かせることができます。商品やブランドを信頼してもらうことで、購入される可能性が高まるでしょう。

26. 損失回避の法則(プロスペクト理論)

損失回避の法則とは、利益を得るよりも、損失を回避したいと考える人間の傾向を指します。

マーケティングでは「この広告を見た人だけ3割引」などと訴えかけることで、買わなくては損と思わせる方法があります。「3ヶ月は無料でお試し」「効果が出なければ返金」など、商品が気に入らなくても損失を避けられるという点から訴求することも有効です。

27. ツァイガルニク効果

ツァイガルニク効果とは、中途半端で完了間近な物事が人間の印象に残る傾向がある現象のことです。続きが気になるといった心理は、このツァイガルニク効果が関係していると考えられています。

マーケティングにおいては、テレビCMで「90秒後に新事実!」とナレーションを入れたり、Webサイトで「ダイエットに効果的な○○とは?」という穴抜け形式の見出しをつけたりといった形で取り入れられています。

28. 吊り橋効果

不安や緊張を感じて心拍数が上がると、一緒にいる相手に対して恋愛感情があると勘違いしてしまう心理現象です。

マーケティングにおいては、商品を宣伝する際にスリリングな要素を取り入れたり、ユーザーが感じているであろう不安や悩みについて掲載したりといった方法で、擬似的に吊り橋効果を取り入れることができます。

29. ディドロ効果


理想通りのものを手に入れた時に、周囲の環境や他のものも新しくすることで、身の回りを理想的な状態に統一したくなる現象をディドロ効果と言います。

新しい家具を購入した時、その家具にあわせて理想的な家具で揃えたくなるといった気持ちが例として挙げられます。

家具店で同じテーマの家具が取り揃えられていたり、アパレル店で着こなしのセットが紹介されていたりといった方法で利用されています。

30.テンション・リダクション効果

緊張状態が解けて気が緩む状態のことを、テンション・リダクション効果と言います。

テンション・リダクション効果を利用するためには、顧客が商品を決めて安心している時に、別の商品を提案することが有効です。

店頭で「こちらの商品もいかがですか?」と声をかけたり、Webサイトで「この商品を買った人は、他にこんな商品を買っています」と表示したりすると、顧客1人あたりの売上高が高まる可能性があります。

31. 認知的不協和

矛盾する2つの物事を同時に認知した場合に、ストレスが生じることを認知的不協和と言います。「お酒の飲み過ぎはよくないとわかっているが、おいしくてやめられない」といった状態です。

この現象は、商品のキャッチコピーやWebサイトの説明文などに利用できます。「たくさん食べてダイエット」など、矛盾しているような表現を使うことで顧客に違和感を与え、興味を引く方法です。

32. ネームコーリング効果

名前を呼んでもらうと、相手に対する好意的な気持ちが生じる現象をネームコーリング効果と言います。

ネームコーリング効果は、顧客と接する際、相手の名前を呼ぶことで信頼感を与えるといった使い方ができます。名前を連呼すると逆効果となる可能性があるため、違和感のない範囲で利用しましょう。

33. バーダー・マインホフ現象

特定のものを目にした後、日々の生活でもそれと同じものが目に付きやすくなる現象をバーダー・マインホフ現象と言います。

バーダー・マインホフ現象を利用するには、広告によって繰り返し商品を宣伝することで、顧客に「最近よく見かけるな」というイメージを与えます。

将来的に顧客が商品を必要とする時に、強引な宣伝や押し売りをしなくても、自然と自社の商品を選んでもらいやすくなるでしょう。

34. バーナム効果

バーナム効果とは、ごく一般的な物事について述べているにもかかわらず「自分のことだ」と感じてしまう現象を指します。

自社の商品を紹介する時に、多くの人が感じているであろう悩みについて触れることで「自分の悩みをわかってもらえている」と顧客に感じさせることができます。この方法を使って顧客に親近感を与えて、商品や企業に対するイメージを高めます。

35. パレートの法則

物事は8:2の割合で成り立っているという考え方をパレートの法則と呼びます。「企業の売上の8割は、2割の優良顧客によって成り立っている」「仕事の成果の8割は、業務時間のうち2割で成り立っている」といった考え方です。

どんな場面でもパレートの法則が当てはまるわけではありませんが、大きな売上を占める優良顧客を大切にするなど、マーケティングに置き換えて考えることができます。

36. ハロー効果

人や物事の特徴のうち、目立つ特徴の1つに影響されて、全体的な評価をしてしまう現象をハロー効果といいます。

例えば、顧客は有名人が商品を利用しているのを見て「あの商品は魅力的なはずだ」と不確実な評価をしてしまうことがあります。そのような現象を利用し、広告にタレントを起用したり、SNSでインフルエンサーとのタイアップ投稿をしたりといった施策を行います。

37. バンドワゴン効果


多くの人が選んでいるものを選びたくなる現象を、バンドワゴン効果と呼びます。

「売上No.1」「年間ランキング1位」などのキャッチコピーを使うことで「多くの人が選んでいるのだから自分も手に入れたい」といった気持ちを与えます。また、売上ランキングの上位の商品や、長い行列を作っている店舗の商品なども、バンドワゴン効果が働くと考えられます。

38. フィッツの法則

Webサイトでクリックするボタンのサイズが大きいと、ユーザーがそのボタンをクリックする可能性が高くなります。また、他のボタンとの距離が近いと、同様に目的のボタンをクリックする可能性が高まります。

Webサイトを製作するときは「購入」や「登録」といったユーザーにクリックしてもらいたいボタンのサイズを大きくして、複数のボタンを近くに集めることが有効です。

39. ブーメラン効果

人から言われれば言われるほど反発したくなる現象を、ブーメラン効果と言います。

「この商品はおすすめです」と必要以上に言われると、顧客は反発して購入する気をなくしてしまう可能性があります。このような状況を防ぐためには、相手の様子や性格に適した方法で宣伝することが大切です。

40. プライミング効果

プライミング効果とは、人間がある音や言葉などを見聞きすると、次に見聞きするものの捉え方に影響を与えることを表す現象です。

マーケティングでは、アンケートで「新しいパソコンを1年以内に購入する予定はありますか?」などと質問することで、回答者に「新しいパソコンを購入する」という行動を意識付け、自然に購入させるなどの使い方があります。

41. 文脈効果

文脈効果とは、周りの状況や前後の文脈によって、対象となるものの印象が変わる現象です。

商品はそのままでも、好印象を与える商品以外の要素を付け加えることで、商品のイメージを向上させることができます。例えば、アパレルブランドがWebサイトで商品を紹介する時、おしゃれな背景や小物と一緒に撮影することで、商品をより魅力的に見せることができます。

42. ベビーフェイス効果

大きな目や丸みのある身体など、赤ちゃんのような特徴を見ると、安心感を抱きやすい現象をベビーフェイス効果と言います。赤ちゃんだけではなく、動物やキャラクターでも同じような効果を得られます。

Webサイトで商品を宣伝する際に赤ちゃんや動物の写真を掲載したり、可愛らしい雰囲気のキャラクターをイラストレーターに発注したりといった方法でマーケティングに取り入れることが可能です。

43. 返報性の原理

返報性の原理とは、他者から好意を受けた際に、自分もお返しをしようと思う心理を指します。

マーケティングでは、顧客にサービスや特典を差し出すことで、そのお返しとして商品やサービスを購入してもらうことを狙う方法があります。試供品や自社や商品の名前の入った文具を配布したり、商品を購入した顧客に対してサンキューレターを送付したりといった使い方が有効です。

44. 保有効果

自分が一度手にしたものは手放したくないと感じる心理現象を、保有効果と言います。

「返品無料」と記載されている商品を注文しても、いざ手元に届くと、返品したくないという気持ちが生まれることがあります。安心して商品を注文してもらうために返品可能としても、返品率はあまり上がらないと予想できます。

45. マジカルナンバー

人が瞬間的に覚えられる短期記憶の数を、マジカルナンバーと言います。マジカルナンバーは人によって異なりますが、一般的には「7±2」、つまり5〜9個程度と考えられています。

顧客に商品のアピールポイントを説明するときは、マジカルナンバーの存在を意識するといいでしょう。わかりやすく簡潔に伝えるためには、少ないポイントに絞るようにします。

46. マッチングリスク意識

顧客が商品を購入する際に「どんなリスクがあるのだろう」と考えることを、マッチングリスク意識と呼びます。リスクが大きいと購入してもらえる可能性が低いため、リスクを減らすことが望ましいと考えられています。

商品を宣伝する際、相手の疑問や不安を解消することを意識することが有効です。時間をかけて顧客との関係性を築いたり、試供品や無料期間を提供したりといった施策が使えます。

47. 要約効果

自分が見聞きした情報をそのまま覚えようとするのではなく、要点だけを覚えようとする人間の傾向を要約効果と言います。

要約効果は、商品の説明に使う資料やWebサイトの説明文・SNSの投稿で、重要な情報を目立たせるといった使い方ができます。要点が目立つように作成すれば、顧客が商品の情報を把握しやすくなり、訴求力が高まるでしょう。

48. 両面提示

物事の良い面と悪い面、両方を提示することを両面提示と言います。メリットとデメリットの両方を伝えることで相手の信頼感を獲得することを狙います。

マーケティングでは、商品のメリットとデメリットの両方をあらかじめ説明しておくことで、顧客が安心して商品を購入しやすくなります。また、購入後のクレーム防止にも期待できるでしょう。

49. 類似性の法則

類似性の法則とは、初対面の相手でも、共通点があるとわかると親近感を感じる現象です。

類似制の法則は、商品の活用事例をビフォー・アフターで紹介することで利用できます。使用前の状態を紹介することで「自分と一緒だ」「自分と同じ悩みだ」と顧客に感じさせて、商品に対しての親近感を高められます。

50. ロミオとジュリエット効果

その名の通り、ウイリアム・シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」から名付けられた心理現象です。何かを達成しようとする時、困難があると熱量が上がることを示しています。

「数量限定」や「1日○個限定」など、販売する個数を制限することで、顧客に「この商品を手に入れたい」と思ってもらうといった使い方があります。

まとめ

人間の心理や傾向について知ることで、より有利にマーケティングを行うことができます。今回紹介したものの中から取り入れやすいものを見つけて、実際の業務で実践してみてはいかがでしょうか。