開業税理士として成功するためには、税務に関する知識に加え、集客・営業スキルも必要と言われています。しかし「営業活動をしたことがない」「顧客と話すのが苦手」といった方もいるのではないでしょうか。
本記事では、営業活動を苦手としている税理士の方に向けて具体的な集客方法やコツを紹介します。営業を行う際の注意点についても解説しますので、ぜひ最後まで見てください。
目次
税理士業界の現状
税理士業界では、年々税理士登録者数が増えていて、競争は激しくなっています。そのため、廃業する税理士事務所は少なくなく、集客の重要性が増しています。
2022年11月末時点の税理士登録者数は、80,473人(参考データ)です。
税理士の集客方法7個[オンライン]
オンラインで行う税理士の集客方法はたくさんありますが、代表的なものを解説します。
1. ホームページ
ネットで検索することが当たり前となった現代では、ホームページは名刺や店舗と同じくらい重要なツールになりました。税理士としての強みや料金・相談方法などの情報を見込み顧客に伝えることで、成約につなげましょう。
ホームページは情報を伝えるのみならず、信頼性をアピールすることにも使えます。定期的に更新したり、自分の人となりについての情報を発信したりすることで「信頼のできそうな税理士だ」という印象をアピールしましょう。
メリット | デメリット |
・ブランディングができる ・特徴を明確に伝えられる ・差別化しやすい | ・制作コストが大きい ・設計や内容が大切 ・制作会社の見極めが難しい |
2. SEO
ホームページを開設した際に、あわせて行いたい対策にSEO(Search Engine Optimization)があります。SEOとは「検索エンジン最適化」の略であり、 Googleなどの検索サイトで検索した際、自分のホームページがなるべく上位に表示されることを目指すための対策を指します。
SEOは掲載するコンテンツの内容などを工夫して自ら対策を行う方法のほか、専門の業者に外注して対策を代行してもらう方法があります。
メリット | デメリット |
・順位が安定化しやすい ・継続した取り組みで結果が出る ・広告費はかからない | ・対策に時間がかかる ・知見の修得が難しい |
3. Googleビジネスプロフィール
Googleビジネスプロフィールとは、ユーザーがGoogleマップで検索した際に自分の事務所や店舗などを検索結果として表示させるためのツールです。
Googleビジネスプロフィールを利用する場合には、ただ登録するだけではなく、自身のプロフィールが目立つ位置に表示されるような対策を行うことが一般的です。このような対策はMEO(Map Engine Optimization)と呼ばれ、日本語では「マップ検索エンジン最適化」と言います。
メリット | デメリット |
・口コミで信頼を得やすい ・安定化しやすい ・広告費はかからない | ・対策に時間がかかる ・悪い口コミがつくと挽回が大変 |
4. ポータルサイト
税理士のポータルサイトとは、税理士を必要としている見込み顧客と、顧客を探している税理士を結びつけるためのサイトです。
ポータルサイトの多くは初期費用や月額費用がかからない代わりに、成約時の手数料のみかかるシステムを採用しています。 コストを抑えて集客することができるため、開業時には登録しておくといいでしょう。
メリット | デメリット |
・集客をお任せできる | ・競合と並んで表示される ・ポータルサイトの上下の影響を受ける |
5. Web広告
事務所のホームページを多くのユーザーに見てもらうためには、Web広告を活用することも効果的です。
Web広告にはさまざまなものがありますが、税理士事務所が活用する際は、検索エンジンの検索結果と並んで表示される「リスティング広告」や、Webサイトやアプリなどに表示される「ディスプレイ広告」などが適しています。
メリット | デメリット |
・すぐに露出や集客ができる | ・広告費がかかる ・ページの制作クオリティで差が出る |
6. SNS
Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSを活用する方法です。事業を営むユーザーにとって有益な知識を発信することで、税理士事務所への興味につなげます。
Facebookは年齢層が高めで経営者も多い反面、Twitterは若手の経営者や個人事業主などが多い傾向にあります。各SNSによってユーザーの特徴が異なるため、狙っている顧客層に応じたSNSを選択することがポイントです。
メリット | デメリット |
・影響力を持つことができる ・指名で依頼が来る | ・フォロワーを集めるのに時間がかかる ・戦略が必要 |
7. 動画運用
YouTubeに動画を投稿する税理士事務所も増えています。見込み顧客となりそうなユーザーをターゲットにした動画を配信することで、問い合わせをもらえる可能性が高まるでしょう。
投稿した動画はホームページに埋め込んだり、SNSで共有したりと、他の集客ツールと組み合わせて使うのも有効です。
また、税理士本人が出演することで人となりや雰囲気を伝えられ、ユーザーの印象に残りやすい点もメリットと言えるでしょう。
メリット | デメリット |
・信頼を得やすい ・専門的な内容を伝えられる | ・製作コストがかかる ・更新が大変 |
税理士の集客方法7個[オフライン]
オフラインでできる税理士の集客方法を7つ紹介します。
1. 知人や関係者からの紹介
税理士として開業したことを友人や知人などに知らせて、会社の経営者や個人事業主などを紹介してもらう方法です。また、先輩の税理士や前職の同僚などに紹介してもらう方法もあります。
税理士を必要としているというニーズがあれば、契約に向けて話が進みやすいメリットがあります。契約がうまくいかなかったり、仕事をする上で問題が発生したりすれば、紹介してくれた人との関係性に影響が出るかもしれないという点には注意しましょう。
2. 見込み客へのセミナー
将来の顧客になりそうな層に向けてセミナーを開催し、税理士事務所を知ってもらいます。自身で行う方法のほか、金融機関や企業・インフルエンサーなどとコラボすることで、参加者を増やすといった方法もあります。
また、セミナーのテーマは「コロナ禍における中小企業の節税対策とは」「相続税のお悩み相談会」など、さまざまなものが考えられます。
税理士事務所としてどのような顧客を獲得したいのかを決め、それに応じてセミナーのテーマやターゲットを決定し、開催するといいでしょう。
3. ダイレクトメール
設立したばかりの会社など、税理士を必要としていると思われる会社に向けてダイレクトメールを送付します。
ダイレクトメールを送るためには、ターゲットとなりそうな会社の会社名や住所をリスト化することが必要です。その上でハガキのデザインを決定し、送付を行いましょう。
このような作業に時間を割けないという場合には、代行業者に依頼をすることも可能です。
4. ポスティング
ターゲットとしている地域で顧客になってくれそうな会社があれば、ポストに直接チラシを投函する方法もあります。
自らチラシを作成して配布すれば、コストを大幅に抑えることもできます。アナログな方法ではありますが、同じ地域に継続して配布することで、認知度の向上や問い合わせの増加につながる可能性があるでしょう。
5. フリーペーパー
地域独自のフリーペーパーが発行されているのであれば、紙面に広告を出せないかどうかチェックしてみましょう。問い合わせを直接訴求するものや、セミナーから契約につなげるものなど、実際にフリーペーパーに広告を掲載している税理士事務所も多く存在します。
フリーペーパーの雰囲気や、地域住民からの読まれ方によって効果が異なる点には注意が必要です。配布されている地域に住んでいる知人や、フリーペーパーに広告を掲載したことのある経営者の知人などに、一度話を聞いてみるといいでしょう。
6. OOH広告
OOH広告とは「Out Of Home広告」の略であり、屋外に設置する広告を指します。
・道路沿いなどにある看板広告
・電車やバスの車内、駅など、交通に関する場所にある交通広告
・街頭ビジョン
・電信柱など貼られるチラシ
OOH広告にはさまざまなものがあり、代表的なものとして上記をはじめとする広告があります。「この場所に広告を出してみませんか?」といった募集を見かけたら、設置を検討してみるといいでしょう。
7. 営業代行の依頼
営業活動が苦手といった場合には、外部の業者にまとめて依頼してしまうことも可能です。テレアポやダイレクトメールなど、事業の内容に応じた方法を選択し、自身の代わりに営業活動を行ってもらいます。
業者によっては契約の締結まで依頼できるため、交渉が苦手といった方も利用しやすいメリットがあります。
営業代行に依頼する場合、営業や交渉に関するノウハウが身につかないといった点に注意が必要です。
営業するときの重要ポイント
税理士が営業する際は、自身の強みや競合と比較して優れている点を洗い出し、戦略的に営業活動を行う必要があります。
顧客の課題や現在の状況をヒアリングした上で、顧客自身が言葉にできない潜在的なニーズまで想像します。
その上で、自分との契約をおすすめする理由を合理的に説明できるようにしましょう。「自分にはこういう強みがあるため、現状の課題を解決できる」といった言い方で訴求を行います。
また、数多くの税理士事務所が存在する中では、競合との違いについて触れることも重要です。
・店舗経営に強い
・クラウド型の会計ソフトに詳しい
・特定の地域に強い
・開業したての経営者のサポートが得意
上記をはじめとするポイントを組み合わせて訴求することで、競合との差別化を図りましょう。
失敗しないための注意点3個
最後に、税理士が集客・営業する上での注意点を3つのポイントから解説します。
1. 闇雲に営業しない
税理士事務所としての営業活動には、本記事で紹介したものをはじめとするさまざまな方法があります。
しかし、あれもこれもと複数の方法を闇雲に試すのは効率的ではありません。 自分に適した方法や、費用対効果が高いと思われる方法から始め、様子を見ながら軌道修正することを心がけましょう。
2. 顧客のニーズを把握することを重視する
専門性の高い税理士という仕事であっても、顧客の気持ちを汲んだ営業ができるかといったポイントが重要であることは、他の仕事と変わりません。
ヒアリングの際は顧客の話すことによく耳を傾け、ニーズを把握することに注力します。また、広告の出稿やSNSの運用などの際も、顧客志向であるかどうかといった点を常に意識するように心がけましょう。
3. 自ら顧客を開拓する姿勢を忘れない
「知人や友人からの紹介で、さほど営業活動を行わなくてもなんとかなるだろう」と考えている税理士の方も少なくありません。しかし、税理士の数が増える中で、今後もそのような姿勢で顧客を獲得し続けられるとは限りません。
自ら顧客を増やすという姿勢を大切にし、日頃からコツコツと営業活動を行うことを忘れないようにしましょう。
まとめ
開業税理士として顧客を獲得していくためには、戦略的に営業活動を行うことが重要です。
営業活動を行う中で得た知見が、顧客との関わりの中で活かせる場面も出てくるでしょう。 本来の業務と並行して、営業活動にも積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。