化粧品や健康食品などの販売では、薬機法が関わります。度々違反事件が起きていて、SNSで炎上したり逮捕されたりすることもあります。

化粧品・健康食品・サプリメントでは、具体的にどんな表現がNGになるのか一覧で詳しく解説します。

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薬機法(旧薬事法)とは?

薬機法とは、略称で正式名称が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。改正前は「薬事法」という名称でした。

この法律の目的は第一条に書かれてありますが、以下の内容です。

薬機法の目的は、医薬品等の品質・有効性・安全性を確保するとともに、それによる危害発生や拡大を防止し、必要性が高い医薬品等の研究開発促進を行い、保健衛生の向上を図ることです。

薬機法の対象

薬機法の対象は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品ですが、医薬品的効能効果を述べた場合には、健康食品やサプリメントも規制対象となります。

薬機法の化粧品の効能効果の範囲

表現できる化粧品の効能効果の範囲は決められています。次の56個です。

(1) 頭皮、毛髪を清浄にする。
(2) 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3) 頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4) 毛髪にはり、こしを与える。
(5) 頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6) 頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7) 毛髪をしなやかにする。
(8) クシどおりをよくする。
(9) 毛髪のつやを保つ。
(10) 毛髪につやを与える。
(11) フケ、カユミがとれる。
(12) フケ、カユミを抑える。
(13) 毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14) 裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15) 髪型を整え、保持する。
(16) 毛髪の帯電を防止する。
(17) (汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18) (洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19) 肌を整える。
(20) 肌のキメを整える。
(21) 皮膚をすこやかに保つ。
(22) 肌荒れを防ぐ。
(23) 肌をひきしめる。
(24) 皮膚にうるおいを与える。
(25) 皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26) 皮膚の柔軟性を保つ。
(27) 皮膚を保護する。
(28) 皮膚の乾燥を防ぐ。
(29) 肌を柔らげる。
(30) 肌にはりを与える。
(31) 肌にツヤを与える。
(32) 肌を滑らかにする。
(33) ひげを剃りやすくする。
(34) ひげそり後の肌を整える。
(35) あせもを防ぐ(打粉)。
(36) 日やけを防ぐ。
(37) 日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
(38) 芳香を与える。
(39) 爪を保護する。
(40) 爪をすこやかに保つ。
(41) 爪にうるおいを与える。
(42) 口唇の荒れを防ぐ。
(43) 口唇のキメを整える。
(44) 口唇にうるおいを与える。
(45) 口唇をすこやかにする。
(46) 口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(47) 口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48) 口唇を滑らかにする。
(49) ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(50) 歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(51) 歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(52) 口中を浄化する(歯みがき類)。
(53) 口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(54) 歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(55) 歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(56) 乾燥による小ジワを目立たなくする。

注1) 例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2) 「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3) ( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。

この56個の範囲を逸脱するものは、薬機法違反です。

薬機法の健康食品・サプリの効能効果の範囲

健康食品やサプリメントは、明確に表現範囲が決められているわけではありませんが、医薬品と見なされる表現は使えません。

効能効果については、以下に当てはまる場合、医薬品と見なされ、薬機法違反になるおそれがあります。

(1)疾病の治療又は予防を目的とする効能効果
(2)身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果
(3)医薬品的な効能効果の暗示
‐(a)名称又はキャッチフレーズよりみて暗示するもの
‐(b)含有成分の表示及び説明よりみて暗示するもの
‐(c)製法の説明よりみて暗示するもの
‐(d)起源、由来等の説明よりみて暗示するもの
‐(e)新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、経験談などを引用又は掲載することにより暗示するもの

薬機法NGワード表現集・具体例30個[化粧品]

<病気・治療に関する表現>
・アトピーの方に
・湿疹に効く
・かゆみが治まる
・ニキビが改善する

<効果に関する表現>※メーキャップ効果ならある程度表現できる場合も
・シミが消える
・シワがなくなる
・肌が白くなる
・肌が明るくなる
・毛穴がなくなる
・ターンオーバーを促進する
・バストアップ

<成分に関する表現>
・高貴薬配合
・デラックス処方
・各種ビタミンを配合
・肌荒れ改善成分
・100%無添加

<若返りに関する表現>
・アンチエイジング
・若い頃の肌が蘇る
・素肌の力が若返る
・肌の老化を防止する

<安全性に関する表現>
・天然成分で副作用なし
・絶対安全

<最上級に関する表現>
・最高のききめ
・化粧水の王様

<ヘアケアに関する表現>
・育毛
・発毛
・傷んだ髪を修復する

<その他の表現>
・すぐ効く
・皮膚科医がおすすめ
・他社の◯◯は流行遅れ

薬機法NGワード表現集・具体例20個[健康食品・サプリメント]

<病気・治療に関する表現>
・ガンに効く
・体質改善
・高血圧の改善
・生活習慣病の予防
・肝臓疾患の予防
・食欲不振が治る
・認知症予防
・メタボ対策
・花粉症が改善する

<身体の組織機能の増強・増進に関する表現>
・免疫力を高める
・身長が伸びる
・胸が大きくなる
・筋肉増強
・細胞の活性化
・精力増強
・若返る
・集中力を高める
・治癒力が増す

<医薬品的な効能効果の暗示に関する表現>
・延命◯◯(※名称で暗示)
・昔は◯◯の薬だった(※起源・由来で暗示)

健康食品やサプリメントの注意点

健康食品やサプリメントの中には、保健機能食品があります。保健機能食品は、それぞれ認められた範囲で一定の効果を表現できます。


引用元:消費者庁資料

特定保健用食品

特定保健用食品(通称:トクホ)とは、からだの生理学的機能などに影響を与える保健効能成分を含み、その摂取によって、特定の保健の目的が期待できる旨の表示をする食品のことです。

消費者庁長官の許可を受ける必要があります。(健康増進法第43条第1項)

栄養機能食品

栄養機能食品とは、特定の栄養成分を補給するために利用され、栄養成分の機能を表示する食品のことです。

栄養機能食品は、個別の許可申請を行う必要がありません。

機能性表示食品

機能性表示食品とは、特定の関与成分を含み、科学的根拠に基づき、特定の保健の目的が期待できる食品のことです。

特定保健用食品とは異なり、国の審査はなく、届出制で、事業者の責任において機能性が表示されています。

薬機法の広告規制

NGワードを使用した広告は、薬機法の広告規制により、取り締まられます。

薬機法第66条1項

何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

薬機法第68条

何人も、第十四条第一項、第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二の二十三第一項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ第十四条第一項、第十九条の二第一項、第二十三条の二の五第一項、第二十三条の二の十七第一項、第二十三条の二十五第一項若しくは第二十三条の三十七第一項の承認又は第二十三条の二の二十三第一項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。

薬機法違反のリスク

広告規制に違反した場合、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、または併科となるおそれがあります。

また課徴金制度が取り入れられたため、措置命令・課徴金納付命令(売上の4.5%)になるおそれもあります。

また最近は行政が取り締まる前に、SNSで炎上して話題になり、ブランドイメージの低下や企業の信頼喪失になることもあります。

過去に販売メーカー・広告代理店の社員等が一斉に逮捕された事件も起きています。

景品表示法にも注意が必要

薬機法をクリアしても、景品表示法に注意する必要があります。

薬機法でOKだったからといって好き勝手に広告で表現を使っていいわけではありません。

例えば、「売上No.1」という最上級表現は薬機法はクリアしていますが、客観的なデータに基づいて表現できるものなのかという問題があります。簡単に調べただけで判断した上での表示だったり、自社に都合のいい商品リストだけを用いてNo.1にしたりすると、景品表示法違反と判断されます。

過度な表現はリスクが高いので、本当に問題ないのか改めて確認しましょう。

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まとめ

化粧品・健康食品・サプリメントなどでは薬機法に注意すべき表現がたくさんあります。実際、取り締まることができないくらいの違反表現が使われているため、他のサイトで使っていたからOKと思って使わないようにしましょう。

今回紹介したようなよくあるNG表現を避けるだけでもリスクは減らせます。美容健康ビジネスに携わる人はチェックを怠らないようにしましょう。

参考:薬機法NGワード