アロマの市場規模は拡大傾向にあり、身近な商品やサービスにもたくさん使われています。ただ、薬機法など規制との関係に注意する必要があります。
アロマ関連製品の薬機法表現規制について説明します。
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目次
アロマ製品の薬機法分類は?
アロマ製品には様々なものがあります。アロマオイル、自然派化粧品、入浴剤、洗剤など。
薬機法分類としては、主に雑貨(雑品)や化粧品に該当します。
雑貨のアロマオイル(精油)が表現できる効能効果
多くのアロマオイル(精油)は、雑貨(雑品)に該当します。雑貨は薬機法上の定義はありません。
しかし、「シミに効く」「肌荒れが治る」などの効能効果を表現すると、薬機法上の医薬品等と見なされ、薬機法第68条に抵触します。
第六十八条 何人も、第十四条第一項、第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二の二十三第一項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ第十四条第一項、第十九条の二第一項、第二十三条の二の五第一項、第二十三条の二の十七第一項、第二十三条の二十五第一項若しくは第二十三条の三十七第一項の承認又は第二十三条の二の二十三第一項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。
また、雑貨だけではありませんが、景品表示法にも注意が必要です。「自然由来で安心」「最高品質」などの表現は景品表示法違反になるおそれがあります。
化粧品のアロマオイル(精油)が表現できる効能効果
薬機法上の化粧品に該当するアロマオイル(精油)は、化粧品が認められている効能効果56個の範囲内であれば、広告で表現できます。
(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
(11)フケ、カユミがとれる。
(12)フケ、カユミを抑える。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15)髪型を整え、保持する。
(16)毛髪の帯電を防止する。皮膚や肌
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
(23)肌をひきしめる。
(24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。
(27)皮膚を保護する。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。
(29)肌を柔らげる。
(30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。
(32)肌を滑らかにする。
(33)ひげを剃りやすくする。
(34)ひげそり後の肌を整える。
(35)あせもを防ぐ(打粉)。
(36)日やけを防ぐ。
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。芳香
(38)芳香を与える。
爪
(39)爪を保護する。
(40)爪をすこやかに保つ。
(41)爪にうるおいを与える。
口唇
(42)口唇の荒れを防ぐ。
(43)口唇のキメを整える。
(44)口唇にうるおいを与える。
(45)口唇をすこやかにする。
(46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48)口唇を滑らかにする。
(49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
歯・口の中
(50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(52)口中を浄化する(歯みがき類)。
(53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
皮膚
(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。
注1)例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2)「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3)( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。
アロマ製品の販売に必要な許可
雑貨の販売であれば、特に許可等は必要ありません。
化粧品販売の場合、OEMで自社ブランドとして販売するなら、化粧品製造販売業許可が必要です。また自社で製造も行う場合は、化粧品製造業許可が必要です。
製造方法 | 化粧品製造販売業許可 | 化粧品製造業許可 |
OEM | 必要 | 不要 |
自社製造 | 必要 | 必要 |
アロマオイルの個人販売は?
化粧品に該当するアロマオイルを、自社ブランドとして販売したいのであれば、化粧品製造販売業許可が必要ですが、他社製品を仕入れて小売りを行うだけであれば、特に許可や届出は必要ありません。
個人事業主等で販売する場合、特に許可等がいらない卸商品を扱うのもいいでしょう。
アロマオイルの個人輸入は?
化粧品に該当するアロマ製品を個人輸入する場合、自分のために使うのであれば、特に許可等は必要はありません。1品目につき24個まで輸入できます。
個人輸入したものを転売すると、薬機法違反です。
適法に輸入販売する場合、以下のケースに分けて考える必要があります。
①自社が輸入して、自社製品として販売
⇒「化粧品製造販売業」「化粧品製造業」が必要。
②自社が輸入して、他社が販売
⇒「化粧品製造業」が必要。
③他社が輸入したものを、自社製品として販売
⇒「化粧品製造販売業」が必要。
メディカルアロマやアロマセラピーは?
メディカルアロマを提供する際に、病気等への治療や予防効果を表現すると、薬機法違反になります。アロマセラピー(アロマテラピー)でもそういった効果を表現すると、同様に薬機法違反です。
例えば、「アロマで血行促進」「アロマで疲労回復」「アロマで◯◯が治る」などの表現はNGです。
また、アロマセラピー(アロマテラピー)は、セラピー(テラピー)という言葉自体が「therapy(治療・療法)」といった意味合いを持つため、薬機法違反と判断されるおそれがあります。
アロママッサージは?
アロマを使う店では、アロママッサージやリンパマッサージという言葉が使われることがあります。
しかし、「マッサージ」という表現は、あはき法(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律)の規制があり、使うことができません。
無資格で使った場合、あはき法違反で逮捕に至る可能性があります。
虫除けアロマスプレーは?
医薬部外品・医薬品でその効能効果を承認されていない限り、衛生害虫類の「虫よけ」を効能効果として表現することはできません。
※衛生害虫とは、ヒトに対して直接的な被害を及ぼす虫のことで、感染症を媒介するおそれがある虫です。具体的には、蚊、ハエ、ゴキブリ、ダニ、ノミ、シラミなど。
そのため、アロマスプレーで衛生害虫類の「虫よけ」効果を表現すると薬機法違反となります。
ただし、これは人を対象にアロマスプレーを使用する場合です。
建物や植物を対象とする場合は、雑貨で虫除け効果をうたうことができます。
アロマのワークショップは?
アロマ関連のワークショップ自体は問題ありません。
ただし、ワークショップで作った化粧品を参加者が販売したり、ワークショップ後に別の自社製品について肌や身体への効能効果をうたいながら販売したりすると、薬機法違反となります。
薬機法違反の罰則やリスク
薬機法違反行為をした場合、罰則があります。
例えば、医薬品的効能効果を述べて販売した場合、薬機法第68条の「未承認医薬品の広告の禁止」に抵触します。
罰則は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科です。
また、措置命令が行われる可能性もあります。措置命令の内容は、違法行為の禁止、再犯防止に必要な事項の公示などです。
他には、競合やお客様から指摘されて、信頼を失うリスクもあります。
まとめ
アロマ製品を扱う場合は、薬機法・景品表示法・あはき法など、様々な法律に注意する必要があります。
自分のビジネスに関係する法律を把握し、適切に広告や商品販売を行うようにしましょう。